Ubuntu 16.04: GRUB2とLinuxをシリアルコンソールで操作する

GRUB2とLinuxをシリアルコンソールで操作する手順を記載します。

デスクトップ環境向けの内容ではなく、組込み機器と仮想マシン運用向けの内容です。

 

1 何故シリアルコンソールを使うのか

デスクトップ環境だとメリットはないですが、組込み開発や仮想マシン運用に役立ちます。

  • 組込み機器のようなディスプレイを持たないハードウェアにRS232Cケーブルをつなげることでコンソール操作できる(プロダクトになると削られる)
  • KVM + libvirt環境において、virt-managerのようなGUIツールを介さずにvirshのCUIツールのみでコンソール操作できる

2 /etc/default/grub

以下の変更を加えます。

  • GRUBのターミナルをconsoleとttyS0に変更します。これによりディスプレイとシリアルコンソールへ同一のGRUBが表示されます。
  • "no video mode activated"というエラーを回避する為にHIDDENパラメータを削除します。これに伴いGRUBのタイムアウト値を10秒から1秒へ変更します。
  • Linuxカーネルのコンソールをtty1とttyS0に変更します。tty1とttyS0の設定はユーザランドに引き継がれ、それぞれに別々のログインプロンプトが表示されます。
$ diff -uprN /etc/default/grub{.org,}
--- /etc/default/grub.org       2016-06-07 08:26:05.869583873 +0900
+++ /etc/default/grub   2016-06-07 22:02:51.288594112 +0900
@@ -4,12 +4,10 @@
 #   info -f grub -n 'Simple configuration'

 GRUB_DEFAULT=0
-GRUB_HIDDEN_TIMEOUT=0
-GRUB_HIDDEN_TIMEOUT_QUIET=true
-GRUB_TIMEOUT=10
+GRUB_TIMEOUT=1
 GRUB_DISTRIBUTOR=`lsb_release -i -s 2> /dev/null || echo Debian`
-GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="quiet splash"
-GRUB_CMDLINE_LINUX=""
+GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT=""
+GRUB_CMDLINE_LINUX="console=tty1 console=ttyS0,115200"

 # Uncomment to enable BadRAM filtering, modify to suit your needs
 # This works with Linux (no patch required) and with any kernel that obtains
@@ -17,7 +15,8 @@ GRUB_CMDLINE_LINUX=""
 #GRUB_BADRAM="0x01234567,0xfefefefe,0x89abcdef,0xefefefef"

 # Uncomment to disable graphical terminal (grub-pc only)
-#GRUB_TERMINAL=console
+GRUB_TERMINAL="console serial"
+GRUB_SERIAL_COMMAND="serial --speed=115200 --unit=0 --word=8 --parity=no --stop=1"

 # The resolution used on graphical terminal
 # note that you can use only modes which your graphic card supports via VBE

3 grub-mkconfig

grub-mkconfigを実行し、/boot/grub/grub.cfgを再作成します。

$ sudo grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
Generating grub configuration file ...
Found linux image: /boot/vmlinuz-4.4.0-22-generic
Found initrd image: /boot/initrd.img-4.4.0-22-generic
Found linux image: /boot/vmlinuz-4.4.0-21-generic
Found initrd image: /boot/initrd.img-4.4.0-21-generic
Found memtest86+ image: /memtest86+.elf
Found memtest86+ image: /memtest86+.bin
done

Ubuntu 16.04を再起動します。

$ sudo reboot

4 実行結果

GRUBのディスプレイ出力は以下のとおりです。

0001_GRUB-to-Display.png

GRUBのシリアルコンソール出力は以下のとおりです。

本環境ではsudo virsh console <vmname>で接続しました。

0002_GRUB-to-SerialConsole.png

ディスプレイにログインプロンプトが表示されます。

tty1はCtrl + Alt + F1で表示されます。

0003_Linux-to-Display.png

シリアルコンソールにログインプロンプトが表示されます。

0004_Linux-to-SerialConsole.png

4.1 シングルユーザモードとリカバリモード

  • シングルユーザモードはtty1とttyS0の両方にrootのプロンプトが表示されます。
  • リカバリモードはttyS0のみにリカバリモードのプロンプトが表示されます。tty1にリカバリモードのプロンプトを表示するには、console=ttyS0,115200の値をGRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULTへ移動してください。リカバリモードのエントリはGRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULTを使用しません。
  • シングルユーザモードとリカバリモードのrootプロンプトはttyの表示がおかしくなるので、/root/.bashrcの末尾に以下を追加してください。
case "$TERM" in
  linux|vt*) stty sane ;;
esac

stty saneを追加して、ttyS0にリカバリモードのプロンプトを表示した様子は以下のとおりです。

0005_RecoveryMode-to-SerialConsole.png